平屋を新築したい方必見!メリットや建築費を抑えるポイントを伝授
近年、住宅の選択肢として平屋が注目されています。実際に、平屋の着工棟数もここ数年で伸びていることから、生活動線がフラットでバリアフリーな暮らしは、年代に関係なく人気であることが分かるでしょう。
そこで今回は、新築で平屋を検討している方に向けて、平屋のメリット・デメリットと建築費を抑える方法を解説します。
また、どれほどの敷地が必要なのかイメージしていただくために、床面積に応じて必要な土地の大きさについてもご紹介します。ぜひ、最後までご覧ください。
目次
平屋の着工件数は年々増加
国土交通省の「建築着工統計調査」によると、2013年の平屋(居住住宅)の着工棟数は36,551棟でしたが、2023年には57,848棟となっており、10年で約1.5倍に増加しました。
一方、居住専用住宅の総数を見ると、2013年には506,252棟でしたが、2023年には385,919棟と25%程度減少しています。
全体の着工件数が減少傾向であること考慮すれば、平屋の人気が高まっていることがわかります。
2013年 | 2023年 | |
居住専用住宅の総数 | 506,252棟 | 385,919棟 |
1階建ての居住専用住宅 | 36,551棟 | 57,848棟 |
平屋を新築するメリット・デメリット
平屋とは、一階建ての建物のことです。室内に階段がないため、バリアフリーな暮らしができるという特徴があります。以前までは、シニア向け住宅のイメージを持たれる方が多かったように思いますが、近年はミニマムな生活を好む傾向からか、若い世帯や子育て世帯にも注目されています。
一見、メリットが多いようにも感じるかもしれませんが、平屋の住宅を検討するのであれば、メリットと併せてデメリットも把握しておきましょう。
平屋の特徴を把握していただくために、まずは代表的なメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
平屋の主なメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- バリアフリー設計・家事によるストレス軽減
- 家族を近くに感じられる
- ライフステージに合わせて間取りを変更しやすい
- 地震の揺れに強い
- メンテナンスやリフォームにかかる費用を抑えられる
バリアフリー設計・家事によるストレス軽減
平屋に住む一番のメリットは、生活動線に階段がなく、バリアフリーな暮らしができるということでしょう。シニア層の中には、2階建てに暮らしていても足腰に不安を感じることから、1階だけで生活している方も少なくありません。
例えば、1階で洗濯をして、2階のバルコニーに洗濯物を干すとなると、濡れて重くなった洗濯物を1階から2階まで運ばなければなりません。掃除機をかけるにしても、1階と2階を行き来することになります。
その点、平屋であれば平面移動だけになるため、家事の効率は上がり、日々の家事によるストレスも軽減できるでしょう。
家族を近くに感じられる
リビングダイニングをはじめ、キッチン、浴室、各自の寝室など、すべてがワンフロアに収まっているため、自然と家族で顔を合わせる機会が多くなります。もし別々の部屋にいたとしても、家族の気配を感じることができ、結果として会話の数も増えるでしょう。
日々を忙しく過ごしていると、どうしても会話が減ってしまうことがありますが、コミュニケーションを取りやすい状況にすることで、家族のちょっとした変化にも気付くことができます。そのため、家族同士のつながりを大切にしたい方には平屋がおすすめです。
ライフステージに合わせて間取りを変更しやすい
平屋は2階部分がないため、2階建てに比べると柱や壁を少なくできます。また、居住スペースが上下に分かれていない分、大きな空間を作りやすいのもメリットです。
例えば、将来的に子どもが巣立った後、子ども部屋の壁を取り払って大きな部屋にすることができます。
また、大規模な改装をする場合も、補強工事や構造計算が不要なケースが多く、リフォームするに当たっても、自由度が高いといえるでしょう。
地震の揺れに強い
平屋は、重心が低いことから地震の揺れに強く、2階建てや3階建てに比べて耐震性が高くなります。地盤にかかる重量も軽いため、地盤改良などの費用が抑えられるでしょう。
建物の重さに対して地盤の耐力が足りないと、地盤改良が必要となり、その分の費用が発生します。地盤調査の結果によっては、100万円以上の費用がかかることも少なくありません。
通常、地盤調査は土地の売買契約後や引渡し後に行われます。地盤の強度が心配であれば、国土交通省の「土地の成り立ち・土地利用」を利用して、土地の成り立ちや地形分類などを参考にしてみましょう。
メンテナンスやリフォームにかかる費用を抑えられる
平屋は2階建てや3階建てに比べて、メンテナンスやリフォームにかかる費用を安く抑えられるといわれています。
住宅を購入した後も、定期的にメンテナンスをする必要があり、外部改修には数百万円単位の費用がかかることが多いです。
例えば、10~15年程度に一度は屋根や外壁の塗装が必要となり、屋根まで届くように足場を設置しなければいけません。建物の高さや形状によって費用は異なりますが、平屋であればそれほど堅固な足場を必要としないため、2階建てに比べると安く済むでしょう。
また、リフォーム工事をする場合も、平屋であれば1階部分のみの工事となります。大掛かりな工事でも、平屋には2階がないため、基本的に構造計算をする必要がありません。また、建材の運搬や作業をスムーズに進められる分、工期は短くなり、費用も比較的安く抑えられるでしょう。
デメリット
平屋には、メリットがある一方、建てる前に把握しておきたい注意点もあります。平屋の代表的なデメリットは、以下の5つです。
- 採光や通風を確保しにくい
- 防犯への配慮が不可欠
- 浸水時に逃げ場がない
- 建築費が高くなる傾向にある
- ある程度広い敷地が必要となる
採光や通風を確保しにくい
平屋で床面積が広い場合、日射しや風を建物の中心部まで取り込みにくくなります。しかし、日当たりや風通しが悪いと、カビや結露が発生しやすくなります。定期的に換気をするなど、湿気をため込まないように工夫しましょう。
他の解決策としては、天窓や中庭を設ける、建物をL字型やコの字型にするなど、窓から日射しと風を取り込む方法が考えられます。ハウスメーカーや設計士に相談の上、快適に暮らせるよう対策を講じてください。
防犯への配慮が不可欠
平屋に限った話ではありませんが、窓の数が多いほど、戸締りしなければならない箇所が増えます。特に夏などの暑い時期は、窓を開けたまま就寝する方もいるかもしれません。しかし、1階建ての場合は防犯上難しいでしょう。
シャッターや防犯窓を採用する、庭に防犯カメラや人感センサー付きのライトを設置する、窓回りに踏むと音が出る砂利を敷くなど、防犯対策をしっかり行いましょう。
また、玄関周りはなるべくオープン外構で開放感を持たせ、通行人から見えやすくすることにより、不審者から狙われにくくするのも効果的です。
浸水時に逃げ場がない
台風による洪水や河川の氾濫、高潮が発生した場合、2階建てであれば貴重品を持って2階へ避難できるでしょう。しかし、平屋の場合は1階のみであるため、床上浸水してしまうと逃げ場がありません。
平屋には、地震の揺れに強いという利点がある反面、水害時には高い場所へ逃げられないことから、迅速に避難する必要があります。
敷地を購入する際は、ハザードマップなどで水害発生時を想定した浸水深を確認しておきましょう。ちなみに、国土交通省の「重ねるハザードマップ」でも災害によるリスクを調べることができます。
建築費が高くなる傾向にある
同じ延べ床面積の家を新築する場合、平屋と2階建てでは、平屋の方が建築費は高くなる傾向にあります。平屋は、建築面積が2階建ての倍となり、コストが高い屋根工事や基礎工事を行う面積も倍になるためです。
もちろん、足場代は平屋の方が安く、給排水管の長さも2階建てより短くなるでしょう。このことから、一概に平屋の方が高いとは言い切れませんが、延べ床面積が広くなりすぎない工夫は必要でしょう。
ある程度広い敷地が必要となる
建ぺい率や容積率は、用途地域ごとに定められているため、敷地いっぱいに建てられるわけではありません。平屋を総2階建てと同じ広さにしようとすると、大きな敷地が必要になります。
用途地域や建ぺい率、容積率を確認し、希望する広さの平屋が建てられるのか確認するようにしましょう。
平屋を建てるに当たって土地を購入する場合は、建築費以外にも土地代がかかるため、建築コストとのバランスを考えて計画しなければなりません。特に、都市部では土地の価格が高く、予算内で見つけるのが難しいケースもあるでしょう。
平屋に必要な敷地面積はどれくらい?
平屋を建てる場合、どれぐらいの敷地が必要になるのでしょうか。実は、用途地域ごとに建ぺい率や容積率が定められており、同じ広さの土地でも建てられる面積は異なります。
他にも、道路の幅員によって容積率を求める計算式が異なることがあり、角地の場合は建ぺい率を10%加算できるケースもあります。また、家を建てるに当たって高さ制限もあります。
つまり、建ぺい率と容積率だけでは実際の敷地面積を正確には算出できませんが、おおまかにはイメージできるでしょう。
希望する延べ床面積から逆算し、平屋の場合はどのくらいの敷地が必要となるのか、実際に計算してみましょう。
用途地域とは?
用途地域とは、生活環境や業務の利便性を維持することを目的として、異なる用途の建物が混在しないように定めた地域のことです。都市計画区域内の土地は、基本的に13地域のいずれかに指定・分類されています。
用途地域ごとの建ぺい率と容積率は、自治体によって異なります。実際の割合については、各市区町村の担当窓口やホームページで調べてみましょう。
ここでは、例として福岡市の建ぺい率と容積率をご紹介します。
用途地域 | 建ぺい率(%) | 容積率(%) | |
住居系 | 第一種低層住居専用地域 | 50 | 80 |
第二種低層住居専用地域 | |||
田園住居地域 | ― | ― | |
第1種中高層住居専用地域 | 50・60 | 100・150・200 | |
第2種中高層住居専用地域 | |||
第1種住居専用地域 | 60 | 200・300 | |
第2種住居専用地域 | |||
準住居地域 | 200 | ||
商業系 | 近隣商業地域 | 80 | 200・300 |
商業地域 | 200・300・400・500・600・700・800 | ||
工業系 | 準工業地域 | 60 | 200 |
工業地域 | |||
工業専用地域 |
建ぺい率・容積率とは?
建ぺい率とは、敷地面積対する建築面積(建坪)の割合(上限)のことで、建物を真上から見たときの建築面積です。例えば、建ぺい率が50%の場合、30坪の土地には15坪(49.58㎡)まで建築できます。
建ぺい率(%)=建築面積/敷地面積×100
30坪×50%=15坪(49.58㎡)
容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合(上限)のことです。2階建ての場合は、1階と2階の延べ床面積となります。
例えば、容積率が80%の場合、30坪の土地に2階建ての建物を新築するならば、延べ床面積は24坪(79.33㎡)まで建てることができます。
30坪×80%=24坪(79.33㎡)
平屋を新築するのに必要な敷地面積は?
平屋を新築する場合、建築できるのは建ぺい率の上限までです。
例えば、建ぺい率が50%の場合に必要な土地面積は、以下のとおりです。
(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第1種中高層住居専用地域・第2種中高層住居専用地域のケース)
平屋の床面積 | 必要になる土地面積 |
25坪(82.6㎡) | 50坪(165.2㎡) |
30坪(99.1㎡) | 60坪(198.3㎡) |
35坪(115.7㎡) | 70坪(231.4㎡) |
40坪(132.2㎡) | 80坪(264.4㎡) |
平屋の床面積別に間取り例を紹介
平屋の床面積や間取りをイメージしていただくために、25~40坪までの平屋の間取り例をご紹介します。希望する平屋の間取りに必要な土地面積がどれくらいなのか、具体的にイメージしてみましょう。
25坪(82.6㎡)の平屋の間取り例(3LDK)
- LDK(18.5帖)+主寝室(8帖)+子ども部屋(5.5帖)×2
- LDK(20帖)+主寝室(10帖)+子ども部屋(5帖)×2
30坪(99.1㎡)の平屋の間取り例(4LDK)
- LDK(18帖)+和室(4.5帖)+主寝室(8帖)+子ども部屋(6帖)×2
- LDK(20帖)+和室(6帖)+主寝室(12帖)+子ども部屋(5帖)×2
35坪(115.7㎡)の平屋の間取り例(4LDK)
- LDK(23.5帖)+和室(6帖)+主寝室・WIC(8+3帖)+子ども部屋(6帖)×2
- LDK(24帖)+和室(6帖)+主寝室・WIC(8+4帖)+子ども部屋(6.5帖)×2
40坪(132.2㎡)の平屋の間取り例(4LDK+α)
- LDK(27.5帖)+和室(6帖)+主寝室・WIC(8+4帖)+子ども部屋(6帖)×2
+パントリー(2帖)
- LDK(25.2帖)+和室(4.5帖)+主寝室・WIC(9+3帖)+子ども部屋(6帖)×2+ファミリークローゼット(3帖)
平屋のコストを抑えて新築する方法
平屋は、2階建てよりも建築コストが割高になると言われていますが、工夫次第でコストを抑えることが可能です。
そこで最後に、平屋の建築コストを抑える方法をご紹介します。予算的にハードルが高いと思っている方も、ぜひ参考にハウスメーカーへ相談してみましょう。
大きな空間を作って細かく分けない
できるだけ大きな空間をそのまま生かし、部屋を細かく分けすぎないように工夫しましょう。部屋を作ることで多くの壁や柱が必要になり、その分建築コストがかかってしまいます。
例えば、子ども部屋は壁で区切らず、子どもの成長に応じて必要になってから壁を設置する、もしくはパーテーションや可動式の収納家具で分けるなどの方法があります。あらかじめ、子どもが巣立って部屋が不要になったときのことも想定しておくと、将来かかるリフォーム費用も削減できます。
外観をシンプルな形にする
外観にはなるべく凹凸を作らず、長方形や正方形などのシンプルな形にしましょう。複雑な形状にすると屋根面積が増加し、外壁や柱などの建築資材も余分に必要となります。また、工事期間が伸びれば人件費も増えるため、結果としてコストが高くなってしまいます。
かならずしも「コストカット=満足度の低下」というわけではありません。スタイリッシュな印象の外観にして、シンプルモダンなデザインを目指しましょう。
床面積を大きくし過ぎない
床面積が大きくなれば、建築コストが上がり、それに伴って広い敷地も必要になります。平屋の場合は、床面積にとらわれず、効率的でコンパクトな間取りになるよう心掛けましょう。
例えば、部屋をぐるりと回遊できる動線にすることで、廊下となるスペースを減らすことができ、床面積自体も減らすことが可能です。
また、リビングで勉強することが多ければ、子ども部屋の広さは最低限で良いかもしれません。このように、考え方次第で無駄な空間やコストを減らせるのです。
間取りやレイアウトを決める際は、実際の生活をイメージし、本当に必要な広さであるかどうかを考えましょう。
設備や建材、建具は標準仕様にする
床面積以外の部分でも、コストを抑えることは可能です。例えば、浴室やキッチンなどの設備は、ハウスメーカーが設定している標準仕様を選択します。オプションを追加する場合は、本当に必要であるか考えることが大切です。
外壁や内装材を選ぶ際も、できるだけグレードは上げないようにします。一見、1平方メートル当たりの単価に大きな差がないように見えても、“ちりも積もれば山となる”の言葉通り、後に大きな違いになってくるでしょう。
複数のハウスメーカーの見積もりを比較する
同じ面積の平屋を建てる場合でも、ハウスメーカーごとに仕様や性能が異なり、建築にかかる費用も違います。
1社目で予算が合わなくとも、そこで諦める必要はありません。複数のハウスメーカーに相談し、見積もりを比較しましょう。
なお、床面積・仕様・性能など、条件をそろえて見積もり依頼すると比較しやすくなります。
土地選びも重要
平屋には、2階建てよりも物理的に広い敷地が必要となります。土地代と建築費用のバランスに注意が必要です。
土地を購入する際は、価格・広さ・立地条件・環境のうち、何を優先するのかを明確にしておき、平屋の建売住宅の購入や2階建てへの変更も選択肢に入れておきましょう。
入居後のランニングコストにも注意する
入居後は、住宅ローンの返済が始まります。月々にかかる光熱費や固定費を試算し、無理のない返済計画を立てましょう。
断熱性能が高い住宅ならば、冷暖房の効率が良いためランニングコストを抑えることができます。平屋の建築費だけでなく、ぜひ住宅の気密性や断熱性能もチェックするようにしてください。
ネクストの家でご提供している注文住宅は、ZEHを超える断熱性能が標準仕様となっています。高気密かつ高断熱の家は、外気温に左右されないため、最小限の冷暖房でも快適に過ごせます。
詳しくはこちらをご覧ください。
まとめ
平屋は2階建てに比べて建築コストが割高になると言われていますが、限られた予算内でも、工夫次第で理想の住宅を建てることは可能です。間取りや外観はシンプルなつくりを意識して、複数のハウスメーカーに相談して見積もりを比較しましょう。
「NEXTの家」は福岡都市圏を中心に、注文住宅・建売住宅ともに数多くご提供しています。実際、弊社「NEXTの家」でも平屋を希望するお客さまは多く、おかげさまで平屋の建売住宅は、完成前に成約済みとなる状況が続いております。また、注文住宅においても「平屋を建てたい」とご相談いただくケースが増えています。
また、土地探しのお手伝いもさせていただいており、タイミングやご希望によっては未公開の土地をご紹介することも可能です。
住宅の建築において、土地探しは非常に重要です。注文住宅で平屋を検討しているけれど、希望に合う土地が見つからないという方は、ぜひ一度NEXTの家までご相談ください。