家を建てるのに必要な費用の内訳と費用を抑える方法を解説
ブログ家を建てると決めたらまずは予算設定をします。しかし、家づくりには建物本体価格だけでなく、付帯工事費用や諸費用など他にも費用がかかることはご存知でしょうか。
建物以外にかかる費用には何があるのか、それらにどのくらいの予算を確保しなければならないのかをしっかりと把握しておかないと、予算オーバーしてしまう可能性があります。
本記事では、家を建てるのに必要な費用の内訳や資金計画を考えるポイント、費用を抑える方法などについて解説します。これから家づくりを検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
家を建てるのに必要な費用の内訳
まずは家を建てるのに必要な費用の内訳を見ていきましょう。
家を建てるためには、本体工事費用・付帯工事費用・諸費用、土地から探さなければならない場合は土地購入費用がかかります。
それぞれの費用について簡単に説明していきます。
本体工事費用
本体工事費用とは、基礎や柱、設備や内外装など、建物本体にかかる費用です。
建物本体の工事費用は、トータルの70〜75%を占めていることが多いといわれています。
例えば、トータルの予算が4,000万円なら、建物本体にかかる費用は2,800万〜3,000万円ほどです。
本体工事費用には、仮設工事や基礎工事、木工事など家本体を建てるために必要な工事が含まれています。ただ、ここで注意しなければならないのが、どこまでが本体工事費用に含まれているかです。
ハウスメーカーによって、本体工事費用の範囲が異なります。メーカーによっては上記の本体工事費用の一部がオプション扱いになる工事もあるのです。見積もりを出してもらう段階で、本体工事費用にどこまで含まれているか、ハウスメーカーにしっかりと確認を取らなければなりません。
付帯工事費用
付帯工事費用とは、本体工事費用には含まれないものの、家を建てるのに必要な工事費用のことです。トータルの20〜25%ほどを占めています。
付帯工事費用には、地盤調査や改良工事、解体工事、水道・ガスの引き込み工事、設計料などが含まれているケースが多い傾向があります。
土地購入費用
土地購入費用は、土地を購入するためにかかる費用のことです。
内訳としては、土地の物件価格の5〜10%の手付金、購入物件の残代金、購入に必要な印紙税や仲介手数料といった諸費用などです。土地購入の諸費用は、トータルの6〜10%程度が目安となっています。
諸費用
諸費用は、これまで紹介した本体工事費用や付帯工事費用、土地購入費用以外にかかるコストのことです。諸費用はトータル費用の10〜20%程度を占めています。
諸費用には、印紙代や建物の登記費用、つなぎ融資費用、火災保険、地鎮祭や上棟式費用、引っ越し費用などが含まれます。
家を建てる費用が変動する要因
家を建てる際の費用は、さまざまな要因で変動します。家を建てる費用がどのような要因で変動するのかを把握しておくと、その後の家づくりに役立つでしょう。
家を建てる費用が変動する要因をご紹介します。
ハウスメーカーにするか工務店にするか
まず、家を建てる住宅会社をハウスメーカーにするのか、工務店にするのかで大きく変わってきます。またハウスメーカーの中にも、ローコストのハウスメーカーから大手のハウスメーカーがあり、そこでも大きく価格が異なるでしょう。
一般的には、大手ハウスメーカーは価格が高く、地域工務店だと安くなる傾向があります。ただ、工務店によっては性能や設備、建材を良質なものでそろえて高い価格で提供しているところもあれば、ハウスメーカーでもローコストメーカーのように建物本体価格1,000万円台で購入できるところもあります。
候補の工務店やハウスメーカーの価格相場を調べて、自分の予算に合う住宅会社を探してみましょう。
住宅の構造をどれにするか
家の構造には、木造・鉄骨・鉄筋コンクリート造の3種類があり、それぞれの構造躯体にかかる費用も異なります。
一般的に木造住宅が最も安く、次に鉄骨造と続き、最も価格が高いのは鉄筋コンクリート造です。どの構造を選ぶかによって、建物本体価格が大きく変わってきます。
ただ、鉄筋コンクリート造は頑丈で耐震性に優れており、家そのものの法定耐用年数も47年と長いことから、長く住めるという点がメリットです。木造住宅は22年、鉄骨造は重量鉄骨でも34年が法定耐用年数のため、価格は高いものの鉄筋コンクリート造は丈夫なのです。
設備のグレードを上げるか
家に使うキッチンやユニットバス、トイレなどの設備を、住宅会社の標準仕様から高いグレードのものに変えることは可能です。グレードの高い設備にすることで、使い勝手がよくなり、より快適になるでしょう。
ただ、住宅設備のグレードを上げると一気に費用も高くなります。特にキッチンやユニットバスなどの大型設備は、高級グレードにすると100万円近く価格が変わることもあるのです。
住宅会社の標準仕様の設備だけでも、必要な仕様はそろえられています。特に設備に大きなこだわりがない場合は、標準仕様のままでも問題なく使える場合が多いです。
オプションを付けるか
家を建てる際、注文住宅だと間取りや設備、建材にオプションが用意されています。そのため、選ぶ仕様によって建築費用も変わります。
例えば、キッチンにタッチレス水栓や海外製の食洗機を導入したり、ユニットバスに暖房乾燥機を付けたりすると、その分費用も高くなります。ただ追加するオプションによっては、住み始めてからの生活のしやすさや家事効率のアップにつながるため、費用をかけるところをしっかりと見極めることが大切です。
建物のデザインをどうするか
建物の形が凸凹だと、その分外壁材の面積が広くなって本体工事費用が高くなりやすいです。また、屋根形状も建物の形に合わせて複雑な形になるため、その分材料費と施工費がかかります。
費用を抑えたいなら、できるだけ凸凹の少ない建物にし、屋根は材料が少なくて済む片流れがおすすめです。
土地の価格がいくらか
土地の価格も、家を建てる際の費用が変動する要因の一つです。
人気のエリアだと、小さい土地でも価格が高いことがよくあります。また、公共交通機関へのアクセスのしやすさや、市街地なのか郊外なのかによっても大きく変動します。土地を探すときは、国土交通省の公示価格などを参考にして、相場を把握しておきましょう。
土地の形や法規制があるかどうか
土地の形や法規制があるかどうかも、家を建てるときの費用に影響してきます。
できるだけ土地の価格を抑えて建物本体に費用を充てたい場合、安い土地を探すのがおすすめです。希望のエリアでは価格が高いのであれば、安い別のエリアの土地を不動産会社に紹介してもらいましょう。またこだわりがないのであれば、変形地や傾斜地を提案してもらうのもよいでしょう。
ただ変形地の場合、建物の形状を工夫しなければならず、建築費用が増える可能性もあります。また希望の土地が防火地域・準防火地域に指定されている場合、耐火性能の高い建材を使わなければならないため、材料費が高くなるケースもあります。
安いからといってすぐに購入を決断せず、不動産会社や住宅会社の意見を聞いて最適な土地探しをしましょう。
家を建てるときの資金計画を考えるポイント
家を建てるときにはまず資金計画を立てる必要があります。資金計画を考える際にはいくつかポイントがあるのでご紹介します。
必要な部屋数と床面積を考える
家を建てる際には、家族の人数とライフスタイルに合わせて部屋の数と広さを考える必要があります。
今現在の家族の人数から子どもが増える可能性があるのであれば、それに合わせて部屋を増やさなければなりません。また、子どもが独立した後に余った部屋をどのように使うのかも考えてみましょう。
どのくらいの土地が必要か考える
建物に必要な広さが把握できたら、どのくらいの広さの土地を購入しなければならないのかを考える必要があります。例えば、30坪の総2階の家なら、1階の床面積は15坪になります。建ぺい率も考慮すると小さくても30坪の敷地面積が必要でしょう。さらに、庭や駐車場が必要なら、その分の広さも確保しなければなりません。
どこで家を建てるのかを決める
家を建てるエリアによって土地の価格は大きく変動します。駅前や商業施設の近くなどの人気エリアに建てたいのか、通勤通学に便利な土地にしたいのか、通勤通学が多少大変でも安い土地にしたいのか、などを考えてみてください。
年齢・収入・住宅ローンのバランスを考える
今の年齢、収入から無理なく返済できる住宅ローンの額を割り出してみましょう。
住宅ローンの事前審査によって借入上限額の把握はできますが、本審査で必ずしもその上限額が借りられるわけではありません。また、たとえ借りられたとしても月々の支払額が高すぎると住み始めてからのローン返済に苦しむことになります。
月々どのくらいの支払いなら無理なく返済できるのか、支払いシミュレーションを行ってバランスを考えてみてください。
性能と質・価格とのバランスを考える
ハウスメーカーや工務店によって、坪単価・建築価格は全く異なりますが、住宅性能やデザインの質と価格のバランスを考えることも大切です。
相場より安いローコストメーカーで家を建てても、耐久性が低い建材や設備を使用しているとメンテナンス費用が高くなります。安くてもマイホームが欲しいからといって、建材や設備を削ると住み始めてから苦労してしまうのです。結局住み始めてからのランニングコストを考えると、安く家を購入したのに高くついてしまう、なんてこともあるでしょう。
坪単価や建築価格だけで比較せず、家の間取りや性能、設備までしっかりと把握してから住宅会社を選びましょう。
スケジュールに余裕を持たせる
慌てて土地や住宅会社を決めても、良い家は建てられません。できるだけスケジュールには余裕を持ち、冷静に判断できるようにすると失敗も少なくなります。
いつまでに家を建てたいなどの希望がある場合は、その日から逆算していつから家づくりを始めなければならないかを考えてみましょう。
家を建てる費用を抑える方法
最後に、家を建てる費用を抑える方法を解説します。
家を建てるとき、理想やこだわりを詰め込んだ家づくりをしたいものです。しかし、予算には上限があるため、その予算の範囲内でうまくやりくりをしていかなければなりません。
少しでも費用を抑えて予算オーバーしないようするためには、どうしたらよいのかを見ていきましょう。
業者選びに力を入れる
家づくりのパートナーとなる業者選びによって、家を建てる費用を抑えられるかどうかが変わってきます。
業者がしっかりと自分たちの予算や希望を把握し、それに見合った提案をしてくれるかどうかが重要です。中には、最新の高価な設備ばかり提案してくる業者もいるため、注意しなければなりません。
予算を抑えながら家を建てるなら、コンパクトな設計が得意な業者や、建築費用だけでなく住み始めてからのメンテナンス費用についても丁寧に説明してくれる業者を探しましょう。
複数の業者の話を聞いたり、ハウスメーカーや工務店主催の勉強会に参加したりして、自分に合った住宅会社はどこかを見極める必要があります。
延床面積を小さくする
当然ですが、延床面積を小さくするとその家の価格を抑えることが可能です。
例えば、廊下やホール、階段などの通路に当たる部分はできるだけ面積を省けるようなプランにしてもらうと、それだけでも延床面積を節約できます。また、各居室にクローゼットを付けずに、大きなファミリークローゼットを設置するのも効果的です。
無駄になるスペースを極力省くことで、延床面積が減って建物本体価格も抑えることができます。
凸凹の少ない間取りにする
先にも述べたように、凸凹の多い間取りでは外壁材や屋根材を多く使うことになり、材料費・施工費ともに高くなりやすいです。
費用を抑えたいなら、四角形で1階・2階の形状が同じの総2階の家を建てましょう。屋根は材料費を抑えられる片流れにし、軒を出さないデザインにすると最も費用を抑えられます。
設備を見直す
家に使う設備の見直しも、家の価格を抑えられるポイントの一つです。
住宅設備は、10〜15年程度でメンテナンスや交換の時期になります。新築時は少しグレードを抑えて、交換時期に新しい設備にリフォームする予定にすれば、新築時の本体価格費用を少し抑えることができます。
ただ、住宅会社によって異なりますが、標準仕様の設備は良いグレードのものを安くそろえている場合が多いでしょう。あえて設備のグレードを落とさなくても、お得に良いグレードの設備を導入できる場合もよくあります。
自分の家にどのような設備が使われているのかを確認し、不明な部分は担当者にしっかりと聞いて、どこで費用を抑えるかを検討してみるとよいでしょう。
ドアや窓を少なくする
家を建てる際に、ドアや窓を少なくするのも工事費や材料費の節約になります。
窓を1つ減らすだけでも10万円近くのコスト削減が可能です。ただし、窓を減らし過ぎると家の日当たりに影響します。家の中に十分に光が入らないと、建築確認申請で「採光が不十分」という理由で申請が下りない場合もあります。必要最低限の窓の設置は必要なので、住宅会社に採光計算をしてもらいながら窓を少なくしていきましょう。
また、クローゼットの収納扉や土間収納の入り口の扉をなくすのも、ちょっとしたコスト削減になります。扉の代わりにロールスクリーンを付けてしまえば、コストを抑えながらクローゼットの中身を隠すことが可能です。
和室をつくらない
和室をつくらないことでも、費用を抑えられる可能性があります。和室には襖などが造作でつくられることがあり、それにより費用が高くなる場合があるのです。また、本格的な和室をつくる場合には複雑な工程が必要になるため、工事費も高くなりやすいです。
和室に使われる畳や障子、襖は耐久性が低いため、家を建ててからも定期的にメンテナンスをしなければなりません。ランニングコストがかかるため、コスパが良いとはいえないでしょう。
和室スペースが欲しい場合は、リビングに小上がりの小さな和室スペースをつくるのがおすすめです。また畳もい草ではなく、建材メーカーで製造されているような丈夫なシステム畳にすると、住み始めてからのランニングコストも抑えられます。
優先順位と妥協点を決める
家を建てる際、できれば全ての部分でこだわりたいものでしょう。しかし、実際は予算上限があるため、全てにこだわることは難しいです。
家族で話し合い、どこにこだわるのか、予算オーバーした場合にどの部分であれば予算カットしても問題ないかを話し合ってみましょう。
ただし断熱材や耐震設備のように、後から変更が難しい場所や大規模なリフォーム工事が必要な場所は、妥協せずに予算をかけることをおすすめします。
断熱材は家の快適性やエアコン効率にも影響してくるため、住み心地の良い家にするためにもグレードを下げないようにしましょう。また地震の多い日本では、万が一に備えて耐震性能の高い家に住むことも大切です。家と家族を守るためにも、耐震設備で予算カットは避けましょう。
自分でできることはDIYする
家を建てるときは、自分でできる作業は自分ですることで施工費用を抑えられます。例えば、フローリングのワックスやオイル仕上げ作業、外構のレンガ敷きなどは自分でも作業が可能です。
また収納棚や作業机を自分でDIYするのもよいですし、カップボードをグレードの低い扉色にして、自分でカッティングシートで好きな柄に張り替えるのもよいでしょう。
最近では壁紙も自分で簡単に張り替えられるタイプのものが出ているので、新築時は一番安いグレードの壁紙にして、住み始めてからアレンジするのもおすすめです。
住み始めてから自分で工夫しながらアレンジすれば、その分家への愛着がより深まるでしょう。
先を見据えてあえて費用をかける
先を見据えてあえて費用をかけることで、住み始めてからのコストを抑えられる可能性があります。
例えば、太陽光発電システムを搭載することです。初期費用は高くなってしまいますが、搭載することで、家の電気代を自家発電によって賄うことができます。電気代の高騰が続いている中、電気の節約ができれば家計も助かるでしょう。
また、グレードの高い断熱材や窓を採用し、家の気密・断熱性を上げることでエアコン効率を上げることが可能です。夏に涼しく、冬に暖かい家にすることもでき、コスト以上の快適空間にできます。
まとめ
家を建てるのに必要な費用の内訳や、費用が変動する要因について解説しました。家づくりでは、家本体だけでなくさまざまな費用がかかってきます。
資金計画をしっかりと立て、どの部分にどのくらいの費用がかかるのかをしっかりと把握しておきましょう。また予算だけでなく、住み始めてからの月々の支払いはどの程度できるのかを理解しておくことも重要です。
毎月苦しい支払いにならないように、シミュレーションして無理なく支払える範囲での予算を設定しましょう。